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Adobe Stockの写真をトレースしてデザインで使用して良いか問い合わせた話

先日仕事で「Adobe Stockの画像をトレースしてデザインに使用して欲しい」という問い合わせがあり、著作権的にOKなのか調べたりAdobeに問い合わせたので、その結果をシェアします。

問い合わせた結果だけ先にお伝えすると、「使用する媒体の閲覧数や媒体の種類によって利用OK(ただし編集を加え自分の作品にした上で)」とのことでした。

画像の出どころを調べる方法から、問い合わせ方法などを詳しく書いていきます。

違う素材サイトの画像だと使えるかどうか変わってくるので、今回はAdobe Stockの画像だけの話になりますのでご了承ください。



トレースとは

まず大前提として「トレース」とはどういったことかを説明します。

トレースといっても使うシーンによって意味が変わってきますが、デザイン業界においては「元々あるものをなぞる」という意味になります。

なぞる画像の出どころを調べて利用規約を確認する

クライアントから送られてきた画像が、そもそもネット検索して出てきた画像だったら、トレース以前に使用NGです。

まずは送られてきた画像がどこから取ってきたものなのか、以下の方法で確認します。

  • クライアントに確認する
  • 自分で画像検索して調べる

有料の写真素材であれば、購入前に入るウォーターマーク(透かし)が入っているはずなので、どこの素材サイトから取ってきたのか調べやすいです。

今回は、なんとなく勘で「Adobe Stock」っぽいなと思ったので、Adobe Stockの検索窓にクライアントから参考でもらった画像をそのままドラッグしました。

ドラッグすると、類似写真をサイト内検索してくれます。

類似写真で全く同じものが出てきたので、今回の写真はAdobe Stockの画像でした。

Adobe Stockへの問い合わせ方法

Adobe Stockの画像であることがわかったので、Adobeのカスタマーケアに問い合わせてみました。ここの画面右下にある吹き出しマークをクリックする(下記画像参照)とチャットが開始されます。電話での問い合わせよりチャットだと個人的に問い合わせのハードルが下がって助かりました。

チャットの中でも利用規約に関わると別の担当者に繋がれたりと、それぞれ問い合わせ内容によって担当があるみたいでした。

  • トレース方法(illustratorを使うのか、iPadを使うのか等)
  • 使用用途(趣味でなぞるだけなのか、デザインで使用するか等)
  • 使用媒体(WEB・ソーシャルメディア・販売する商品・広告等)

などがまとまってから問い合わせたほうがスムーズです。

トレース方法について

まず確認されたのが「illustratorを使って画像トレースするイメージかどうか」でした。

今回はiPadで手描き風にアレンジしたかったので、「いいえ」と答えましたが、illustratorを使ってしっかりトレースすることはNGだったかもしれません。

トレース方法について書かれた記事等を複数見ましたが、「そっくりそのまま写す」ことは著作権違反となる場合があるのでNGのようです。

使用用途について

今回は「アプリ内のバナーで使用予定」でした。

そのトレースしたイラストを使って商品を販売したり、モバイル広告・放送番組・デジタルプログラムに使用する場合は別のライセンスが必要なようです。

デザインを使用する媒体の閲覧数

デザインを使用する媒体(今回のわたしの例だとアプリ)の閲覧数によって使用ライセンスが変わるとのことでした。

Adobe Stockには画像によってライセンスが異なり、今回のわたしの該当素材は「通常ライセンス」と「拡張ライセンス」がありました。

「通常ライセンス」でのライセンス取得済みだったので「通常ライセンスでの問い合わせ」にしましたが、通常ライセンスの場合、使用するデザインの媒体の閲覧数が500,000人未満の場合OK(ただし編集を加え自分の作品にした上で)でした。

また、視聴制限のないWEBサイトまたはソーシャルメディアサイトに使用する場合も、編集を加えて自分の作品にしていればOKとのことでした。

Adobe Stockのライセンスの種類について

ここでライセンスにそんなに違いがあるのか?と思ったら、ちゃんとライセンスについて詳しく書いてあるリンクも送ってくれました。

Adobe Stockライセンス情報

ざっくり言うと、「素材を使う媒体の閲覧数や商品・テンプレートに使用する場合によってライセンスが異なる」ようです。

まとめ

今回バナーを載せるアプリの閲覧数は正直わからず、「拡張ライセンス」を購入すると500,000人の壁は壊せそうですが、そんな予算もないので今回は使用を諦めました。

Adobe Stockに限らず、フリー画像と言ってもきちんと利用規約があるので、フリーという言葉を鵜呑みにせず、きちんとライセンスを確認しましょう。

トレースして使用OKな場合

  • WEBやソーシャルメディアサイトに使用(ただし編集して自分の作品にする必要あり)
  • アプリに使用(閲覧数500,000人未満かつ編集して自分の作品にする必要あり)

トレースして使用NGの場合

  • そっくりそのままトレース
  • 使用媒体の閲覧数500,000人を超える時(通常ライセンスのみ)

今回はAdobe Stockの画像のトレースについて書きましたが、もちろん自分で撮った写真(この記事のサムネイルはわたしが撮った写真)をトレースしてデザインに使用することは、著作権が自分にあるので使用OKです。不安な方は自分の撮った写真を使ってトレースすることをオススメします。

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mmm-designグラフィックデザイナー
mmm-design(スリーエムデザイン)代表のフリーランスグラフィックデザイナー。日々の制作実務の経験を元にグラフィックデザインスクールの講師やチラシ講座を開催しています。初心者の方にもわかりやすくをモットーに記事を書いています。